英語を「自分の言葉で話す」とはどういうことか

非言語情報の重要性

私が行っているグローバル人材育成研修では、カリキュラムにプレゼンテーションやディベートが含まれます。そのような場で受講者に何かを説明してもらったり議論をしてもらったりすると、言いたいことがよく伝わってくる人と、あまり伝わってこない人がいるのです。

本稿では、この「伝わりやすさ」の正体について考えたのち、英語で何かを伝えたいならば「自分の言葉で」話さなくてはいけないこと、そしてそのためには何が必要かについて考えてみたいと思います。

目次

伝わる英語、伝わらない英語

伝わる人は、文法、発音、用語などが正しくなくても「ああ、言いたいことはこういうことだな」とすぐわかります。

一方、伝わらない人は、音が右から左に抜けていく感覚と言えばいいのか、あるいは難しい英文を読んでいるうちに文字面だけを追いかけてしまうあの感覚と言えばいいのか、何しろ言いたいことが入ってこないのです。

英語の流ちょうさはあまり関係ありません。

つっかえながらでも言いたいことが十分に伝わってくる人もいれば、一見すると「ah」とか「uh」が入らずに話しているように見えて、なぜか言いたいことが伝わってこない人もいます。

論の立て方も関係ありません。そもそも我々が日本語を話しているときですら、常に理路整然と話しているわけではないはずです。それは英語でも同じで、いわゆるPREP(Point、Reason、Example、Point)の順で教科書通りに論を立てていても、何を話しているか伝わってこない人がいるのです。

この差はどこから出てくるのでしょうか。

わかりにくさの原因は「読み上げ」にある

いろいろな受講者を観察していると、英語を話すときに「読み上げている感じ」があると伝わりにくくなることに気づきます。

典型例は、プレゼンテーションのスライドに文章をいろいろ書きこんで、それを読み上げるような感じの話し方をする人です。(スライドを見ていなくても、頭の中で組み立てた英作文を読み上げるような話し方もこれに該当しますね。)

英文的には正しいとしても、聞き手にはなかなか入っていきません。

一方、流ちょうではなく、少しぐらい文法や発音を間違えても良いので、「話している感じ」があれば、聞き手にはとても伝わりやすくなります。

何とか自分の力で伝えようとする副作用として「Ah」とか「Uh」といったフィラーが多くなりがちですが、それでも読み上げている感じで話す人よりは、はるかに伝わります。

では、どうすれば「話している感じ」すなわち「自分の言葉で話している」状態になるのでしょうか。

「自分の言葉で話す」とは?

ご存知の方も多いでしょうが、コミュニケーションには「言語情報」と「非言語情報」があります。

意味はまさに文字の通りです。

言語情報とは言葉によってもたらされる情報で、非言語情報は言葉以外からもたらされる情報を意味します。

非言語情報の代表例としてわかりやすいのは以下のようなものでしょう。

  • 表情
  • ジェスチャー
  • 声のトーンやスピードの変化

そして、コミュニケーションにおいては非言語情報が非常に重要であることもご存知の方が多いと思います。

言語情報と非言語情報がどれぐらいの比率なのかは様々な説がありますが、日常かビジネスか、あるいは相手が誰かといった状況により大きく変わるので、具体的な比率自体はあまり重要ではありません。多くの研究で、非言語情報のほうが多くの比率を占めると指摘されていることだけ覚えておきましょう。

重要なのは、繰り返しますが、コミュニケーションにおいては言語以外の要素が非常に重要だという点です。

ここまで書けば察していただけるでしょう。

「読み上げている感じ」の人は、この非言語情報が少ないのです。

表情は変わらず、ジェスチャーも特になし。声のトーンや話すスピードも一定で、まるで古い時代の機械音声が話しているような感じであれば、通じにくいのは当然です。

他方で、「自分の言葉で話している」感じの人はこの非言語情報が豊かです。

「大きい」と言いたいときは手を広げる、「非常に○○」と言いたいときは声に力をこめるといった動きが多く含まれるので、聞いている人にスムーズに入っていきます。

なお、これは英語に限ったことではありません。

日本語でも、同じトーン、同じペースで原稿を読まれたり説明を受けたりするとすぐに眠くなるのは、皆さんも大学生の時に経験されたのではないでしょうか。

わかりやすさを支える非言語情報

さて、非言語情報がコミュニケーションの重要な部分を占めるということは、今は「読み上げタイプ」であっても意図的にジェスチャーや抑揚をつける練習をすれば、コミュニケーションの改善が期待できるということでもあります。

そこで私は、読み上げタイプの受講者に対して「まずはジェスチャーだけで良いです。意図的にジェスチャーを入れてください」と言うようにしています。

非言語情報には表情や声のトーンなどいろいろな種類のものがありますが、普段から非言語情報をあまり盛り込まないタイプの人が一気にこれらをすべて取り入れるのはさすがに少しハードルが高いでしょう。

そこで、最も取り組みやすいジェスチャーだけに絞って練習するのです。

もともと非言語情報が豊かな人は「ジェスチャーを入れるぐらい簡単だろう」と思うのですが、そうではない人にとっては、ジェスチャーを入れることすら最初はなかなか難しいもの。

それでも少しずつ慣れてきてジェスチャーがスムーズに入るようになると、声のトーンなども自然とついてきます。

ここまでくると、最初のころに比べて、格段に言いたいことが伝わりやすくなっているのです。

(なお、実際のプレゼンテーションでは大げさなジェスチャーや抑揚を入れすぎないようにして、落ち着いた様子で話すことが良いとされていますが、これは「自分の言葉で話す」ができるようになった後の段階と考えています)

結局は「伝えようとする姿勢」

ここまでの話の通り、「言語習得のセンスがある」とか「(英語における)コミュニケーション能力が高い」というのは、非言語情報を豊かに含ませることにより「相手に伝えようとする姿勢が強い」と言い換えることもできるでしょう。

我々は、英語の学習と言うと、英単語を覚えるのが得意であるとか、文法の理解がはやいといったテクニカルな面に着目しがちです。しかし、本当に重要なのは英語の偏差値ではなく、相手に伝えようとする姿勢なのです。

そしてもう一つ、このような姿勢を持つかは自分次第だということを覚えておいてほしいと思います。

このコラムが少しでも皆さんの参考になればうれしいです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

Altus Leap(アルタス リープ)代表 
公認会計士 TOEIC975点

日本のさらなる飛躍のためにはグローバル人材の育成こそがカギになるという信念のもと、「英語・ファイナンス・文化理解」をパッケージ化した研修プログラム「Altus Leap(アルタス リープ)」をスタート。
実務に直結したカリキュラム、受講者との徹底的な伴走、そして受講者が日本人であることを強く意識した指導により、海外を「任せられる」人材を完成させます。
研修講師は海外ビジネスに関する豊富な経験を有する公認会計士や弁護士などのエキスパートばかり。クライアントが高く(Altus)飛躍(Leap)するために、人材育成の面から強力なサポートを提供します。

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