英語学習の王道|ボキャブラリを増やすには

ときどき「仕事で英語を使えるようになるには、何が一番重要ですか」という質問を受けることがあります。
これについては意見百出でしょうが、私は「ボキャブラリ」だと答えています。
本稿では、ボキャブラリの重要性について改めて触れるとともに、ボキャブラリ強化のアイディアをいくつかご紹介します。
「使える単語」は「知っている単語」の2~3割
まず最初に、「単語を『知っている』からといって、『使える』とは限らない」という当たり前の事実を確認しましょう。
一般に、使える単語は知っている単語の2割~3割程度と言われることがあり、私の実感としても確かにそれぐらいだろうなと感じます。
多くの人が「えーっと、あれって英語でなんて言うんだっけ?」となって、正解を聞くと「あ、そうそう」となることが、「知っているけど使えない」の典型例ですね。
次にもう一つ。
「知っている単語」が多いほど、「使える単語の割合」も高くなっていく、という研究があります(Webb, 2008)。
つまり、知っている単語が増えるにつれて、使える単語の割合も2割→2.5割→3割のように増えていくということです。
これらを踏まえ、私は常々以下のことを私の研修受講者に説明しています。
- 英会話スクールなどに行くのはもちろん良いが、会話だけしかやらないと、小さいボキャブラリだけしか使わないことになりがち
- 一方、ボキャブラリを強化すると「全体のパイの増加」に加えて「それを使える割合」も増えるので、相乗効果的な効用がある
- よって、本当に仕事で使えるレベルの英語を目指すならボキャブラリ強化には正面から取り組まなくてはいけない

わかっていることとはいえ、やはり一つの言語を修得するのであれば、地道な積み重ねは必要なのです。
やるなら楽しくやりたい
積み重ねが必要ということは、継続が必要ということと同義です。そうであれば、少しでも面白くあるいは楽しくやりたいものですよね。
それも踏まえて、以下に3つほどおすすめのボキャブラリ強化方法をご紹介します。
これらの勉強法は、「知っている単語」を増やすことに加え、「使える」割合を効率的に増やす観点でも有効なものを厳選しています。
なお、以下のような「普通の」ボキャブラリ強化方法については触れていません。
- 市販の英単語本を使う(たいてい途中で挫折する)
- 映画を見る(ボキャブラリ強化という意味では効率は良くない)
- 英字新聞を読む(悪くはないが、購読料がかかり、ハードルも高い)
また、以下のように環境そのものを変化させるような方法も除外しています。
- 英語を使う部署に異動する
- 英語圏に赴任する
- アメリカ人と結婚する(付き合う)
①ピクチャーディクショナリ
これは他のところでもたびたび紹介していますが、その名の通り絵や図表が入った辞書のことです。
いろいろな出版社から類似の書籍が出ていますが、筆者の手元にある本で、例えば病気やケガに関するページを開くと下図のようになっています。

(The Heinle Picture Dictionary: 137, 2015, 筆者所有の本より)
23番「血圧」はblood pressureなので日本語直訳で良いことがわかりますし、24番「採血する」はdrawというのか…、といったことが明確にわかるわけです。(我々だとdrawは「描く」「引く」ぐらいですよね)
この良いところは以下の通りです。
- 文字だけの辞書よりはるかにイメージを持ちやすい
- 日常生活に密着しているので「使える」になりやすい
- 文字の辞書だと訳がいくつもあり、実生活ではどの意味で使われるのかわかりにくいが、ピクチャーディクショナリだとそれがわかりやすい
興味があれば「ピクチャーディクショナリ」で検索してみてください。
②「反復読」
よく言われる「英語の多読」とは少し違います。多読も有用ですが、この反復読は「適度なレベルの英語の本を、繰り返し読むこと」です。繰り返し読むことで、単語がより「使える状態」に近くなります。
ここでのポイントは「適度なレベル」の本を選ぶことに尽きます。
- 難しい単語が多く、途中で頻繁に止まるものはNG
- 簡単すぎて、新しい単語が出てこないものもNG
- 何回も読むので薄い本を強く推奨
お勧めの教材はGraded Readersといわれる、レベル別に作られた本です。
有名なのは「ラダーシリーズ」(レベル1~5)あるいは「ペンギンリーダーズ」(レベル1~7)などで、これらは「走れメロス」や「若草物語(Little Women)」など有名なものが多く、ストーリーをある程度わかっていれば途中で頻繁に止まることなく読み進められます。

(IBCパブリッシング、Penguin Readers 各HPより)
だいたい1冊あたり1,000円前後のものが多く、本によって2,000円程度という価格感です。上記2社以外にもたくさん出版されているので、ぜひ「Graded Readers」で検索してみてください。
また、蔵書にしている図書館も多いので、それを利用すればお金もかかりません。
③Thesaurus(ガチ勢向け)
最後に、上記では飽き足らないという本気モードの方にThesaurus(シソーラス)をご紹介します。
Thesaurusというのは同義語あるいは類義語辞典のことです。例えば以下の写真は「monitor」という動詞ですが、その類義語として「track」「keep an eye on XX」「watch」が記載されているというわけです。
そして青い網掛け部分には「monitor」と「track」のニュアンスの違いもコメントされているなど、英語の習得に前のめりの方にはかなり骨太な勉強法です。

(Oxford Leaner’s Thesaurus: 495, 2008 筆者所有の本より)
分厚い本格版も売っていますが、数千円で購入できるライト版も売っているので「Thesaurus」あるいは「シソーラス」で探してみてください。
結局、近道はない
いかがでしたか。
もちろん上記以外にもボキャブラリ強化の方法はたくさんありますが、いずれにしても一つの言語を修得したければ、その言葉をたくさん学ばなくては自分の思っていることを相手に伝えることはできません。
まさに「学問に王道なし」。
色々な方法を試して構わないので、時間をかけて、しかし休むことなくボキャブラリを蓄積していけば、必ず自分の言葉で思ったことを話せる日が来ます。それまでコツコツと、それでも楽しみながら力を蓄えてください。
きっとそのうち「お、Thesaurusで見た表現が使われている」という場面に遭遇し、そうするとますます学ぶことが楽しくなるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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