その報告、英語でも言えますか?

「海外赴任が決まった」「将来海外赴任してみたい」

このような時、多くの方の頭をよぎるのは「英語をやらないと」ではないでしょうか。

そして、多くの方は英会話スクールに通うという選択肢をとると思います。受講料の補助を出す会社もたくさんあるので、確かにこれは合理的な選択です。

目次

英会話スクールでは難しい「業務の英語」

ところが、ここに一つ盲点があります。

多くの人がなんとなく「英語を話せるようにならなければいけない」と考えるのですが、実際には「自分の担当業務の英語を話せるようにならなければいけない」が正解です。

例えば私の場合、専門分野は会計、監査、内部統制なのですが、「開示すべき重要な不備」という用語に相当する英語は「Material Weakness」と決まっています。

これを「Significant deficiency to be disclosed」のような造語にするのは不適切なので、そこは「Material Weakness」という用語を使えるようにならなければいけません。同様に、営業であれば自社製品のスペックなどを説明するときに専用の言葉があるはずですし、それは人事であろうと開発であろうと同じです。

そもそも、海外にわざわざ日本人を赴任させるのですから、専門分野や担当業務について現地でも役に立つ豊かな知見を期待されているはずです。

にもかかわらず、言葉が原因でその知見を発揮できないとすれば非常にもったいないことですし、さらに言えば役割を十分に果たせていないことになります。

ところが、このような専門性を伴う英語学習を一般の英会話スクールに期待するのは難しいと言わざるを得ません。やはり、専門用語や業界固有の言い回しといった内容になると、自分で何とかするしかないのです。

では、そのためには何をすべきでしょうか?書店に行っても、そこまで専門的な単語帳や参考書は売っていません。

その会議や報告、英語でできますか?

私は「会議・報告シミュレーション」を推奨しています。

やることは非常にシンプルです。

読者の皆さんは、部内会議や役員報告など、いろいろな場面で担当業務に関する会議や報告を行っていると思いますが、その説明を英語でやってみてください、ということです。

資料は日本語のままで構いません。

例えば私の場合、サラリーマン時代は経理部門で働いていたので、月次の実績や海外子会社の動向などを役員に報告していました。その資料を見ながら、役員に報告したものと同じ内容を英語で話してみるのです。

他にも、人事であれば、採用計画の説明だとか、社内で生じたハラスメント事案の対応状況などがあるでしょうし、営業であれば、見込み顧客へのアプローチの状況報告であるとか、回収が遅れている売掛金の報告資料などがあるかもしれません。

この方法、練習の「ネタ」は豊富にあるはずですし、日本で営業をしていれば、おそらく海外でもそれに関連した業務を担当するでしょうから、まさに自分の業務にピッタリでムダのない最高の英語訓練になるのです。

効果的な「会議・報告シミュレーション」のための4つのポイント

さて、言葉にするとシンプルに響く「会議・報告シミュレーション」ですが、慣れないうちはかなり大変です。そこで、いくつかヒントを記載しておきます。

① 時間がかかることは覚悟する

日本語ではスラスラ説明できる見慣れた資料でも、英語の専門用語や業界特有の表現などが定着するまでは「単語が出てこない」「こういう時ってどう言えばいい?」という感じで止まってばかりです。

しかしこれは当たり前。語学の習得はそもそもそんなにお手軽なものではありませんので、最初から時間がかかるものだと覚悟しておきましょう。

② どう言えば良いかわからないとき

「こういうときに英語で何と言えばいいかわからない」という事も多いはずですが、そんな時こそAIを活用しましょう。こんな便利なもの、使わない手はありません。

そして、AIに聞くときは複数の表現を出してもらうことをお勧めします。その中で、なんとなくしっくりくるもの、こないものがあるはずなので、直感的に自分がしっくりくるものを身に付ければ良いのです。

ただし、専門用語だけは「しっくりくるものを使う」というわけにはいきませんのでご留意を。

③ 必ず声に出し、録画か録音をする

これは私が色々なところで言い続けていることなのですが、英語の練習をするときは必ず声に出してください。「頭の中で言っている」と「実際に言っている」は別モノで、頭の中の練習だけだと、本番でうまく話せないことがよくあります。

また、自分が英語を話している実際の様子は、録画あるいは録音してみないとわかりません。自分では気づいていない妙なクセ(なぜか手をグルグル回すとか)もあったりするので、できれば録画、そうでなくても録音して聞き返すようにしましょう。

④ 一つの資料で繰り返し練習する

ある会議の資料を使って英語の練習をした後、パッと出てこなかった単語や表現を調べることは良いのですが、それで満足して別の資料に移ってはいけません。

それよりも、どれか一つの資料を繰り返し練習して単語や表現を定着させるほうが英語力は向上します。

地道な努力が最短ルート

この「会議・報告シミュレーション」は、手法としてはアウトプットの練習ですが、効率良くインプットする方法でもあります。しかもそのアウトプットが自分の業務そのものなのですから、非常に効率性の高い英語習得法です。

とはいえ、やはり最も重要なのは継続です。

今の専門性は長い年数をかけて身に付けてきたもの。それを英語で説明できるようにするのですから、相当なエネルギーが必要なのは当然のこと。

しかし、それを乗り越えて自分の業務に関して英語で説明できるようになると、英語に対する苦手意識は大きく減少し、それが他の場面で自信をもってコミュニケーションすることにもつながります。

千里の道も一歩から。

腰を据えて努力を重ねることが、本当に実務で使える英語力を身に付ける最短かつ確実な道なのです。

本稿が、海外赴任を希望する、あるいは海外赴任を控える方の参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

Altus Leap(アルタス リープ)代表 
公認会計士 TOEIC975点

日本のさらなる飛躍のためにはグローバル人材の育成こそがカギになるという信念のもと、「英語・ファイナンス・文化理解」をパッケージ化した研修プログラム「Altus Leap(アルタス リープ)」をスタート。
実務に直結したカリキュラム、受講者との徹底的な伴走、そして受講者が日本人であることを強く意識した指導により、海外を「任せられる」人材を完成させます。
研修講師は海外ビジネスに関する豊富な経験を有する公認会計士や弁護士などのエキスパートばかり。クライアントが高く(Altus)飛躍(Leap)するために、人材育成の面から強力なサポートを提供します。

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