海外赴任者にファイナンス研修が必要な理由

海外赴任者に求められる数字のリテラシー

Altus Leap(アルタス リープ)は、「英語・ファイナンス・文化理解」をパッケージ化したグローバル人材育成プログラムですが、よく聞かれるのが「英語と文化理解はわかるが、なぜファイナンスもやるのか」という質問です。

例えば営業や開発などで働いている人たちにすれば、ファイナンスは経理にやらせればいいだろうと考えるのが普通なのでしょう。

本稿では、ファイナンスをカリキュラムに含めている理由についてお話しします。

目次

海外赴任で広がる責任範囲

海外赴任でよくあるのが、「役職のインフレ」です。つまり、日本でいた時よりも責任を負う範囲が広がるということですね。

例えば日本で課長クラスだった人が、海外の子会社に行くとディレクターなんていう肩書になってそこそこ大きい範囲の責任者になったり、日本で部長ぐらいの役職ともなると、チーフ○○オフィサー(いわゆる「Cクラス」)だったり、赴任先によってはCEOになったりします。

会社というのはそもそも営利目的なのですから、その会社の責任者になれば数字に責任を持つのは当たり前。しかしながら、営業出身の方が売上と粗利ばかりを気にして、その他をあまり気にしないといったケースは今でも見られます。

こういうタイプの方は、まだ営業や開発の「担当」というマインドから抜け出せていません。責任者というのは「担当」や「分担」ではなく「総合」という立場なのですから、元の職場がどこであろうと、自分が任された範囲の数字には全て目を配る必要があるのです。よって、数字に関する基礎的なリテラシーは必須科目と言えるでしょう。

なお、今はCクラスとして赴任していない人でも、次回の赴任はCクラスで、ということは普通にありますので、「数字のリテラシー?まだ私にはいらないかな」ということはありません。 すべての赴任者が、あたかも自分がCEOであるかのような視点を持っておくことは将来的な人材の充実という意味でも良いことなのです。

海外赴任者に求められる数字のリテラシーとは

さて、「基礎的な数字のリテラシー」とはどれぐらいの水準を言うのでしょうか。

「月次の損益報告を理解できているから大丈夫」という声も聞こえてきそうです。確かに月次の損益報告ぐらいであれば、それなりに見慣れている方も多いでしょう。

しかし、「数字を理解できる」ことと、「数字を使える(=改善に役立てる)」ことは別で、責任者として持つべき能力はもちろん後者です。

「数字を読める」レベルでよくあるのがこんな感じでしょうか。

  • 売上や利益の金額を昨年や予算と比較して「まあこんなものか」で済ます
  • 損益ばかりを気にして、バランスシート(=資産や債務)に目が向いていない
  • キャッシュの動きをそもそも気にしていない

そこから「数字を使う」に変わりたいなら、例えばこういうことが必要です。

  • 損益を細かく注視し、少しでも違和感があればすぐに把握・対応する
  • バランスシートのぜい肉(=過大在庫、滞留債権、不要資産など)に目を配る
  • まずは現預金、売掛金、棚卸資産だけでも見る癖をつける(そして、買掛金、借入返済、設備投資に守備範囲を広げる)

もちろん上記は本当に基礎の基礎、かつ一般論にすぎません。会社によって気を付けるべきポイントは様々なので、経理はもちろん、営業など色々な責任者を交えながら日々の経営についてコミュニケーションを取る必要があるでしょう。

その意味で、責任者として最も重要なのは「数字を見て、問題に取り組もうとする姿勢」です。

わからないことがあれば経理など誰かにサポートしてもらいながらリテラシーを高めていけばいいのであって、やってはいけないのは「面倒くさい」と数字から逃げること。

責任者の姿勢は一瞬で見抜かれてしまいます。

どんな企業でも何らかのトラブルや解決すべき問題を抱えているものですが、あ、この人は数字をあまり見ない人だな、と思われると、そういうトラブルなどを適当にごまかそうとする姿勢が社内に生じてしまうものなのです。

このような「ま、いいか」がどれだけ恐ろしいのか、一定の社会経験を積んでいる方であれば十分にご理解いただけるでしょう。

伝説のコンサルタントがサジを投げる会社とは

大きい会社であれば経理の人員も充実しているので「うちの経理は優秀だから任せておけばいいんだよ」という方もいるかもしれませんが、やはり責任者が自分で数字をきちんと見る必要があります。

その証左として、「伝説の経営コンサルタント」と呼ばれ、数々の赤字企業を救ってきた一倉定さんが講義で話したとされる、「どうしても立て直せない会社」についてご紹介したいと思います(※)

一倉さんは「資金が4カ月続けば、基本的にはどんな会社も再建できる。けれど、どうしても立て直せない会社が3つある」とおっしゃっており、それは

  • 「数字を見ない社長」
  • 「お客様のところに行かない社長」
  • 「社員の批判ばかりする社長」

だそうです。

3つのうち、「数字を見ない社長」が最初に挙げられているのは、責任者が数字をきちんと見ることがどれだけ重要かということを示唆していると思います。

本稿で、数字のリテラシーの重要性と、Altus Leapでファイナンスをカリキュラムに取り入れている背景についてご理解いただければ嬉しい限りです。

※出典:日経ビジネス「一倉定でもサジを投げる、会社を滅ぼす社長の3タイプ」2020年10月23日

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この記事を書いた人

Altus Leap(アルタス リープ)代表 
公認会計士 TOEIC975点

日本のさらなる飛躍のためにはグローバル人材の育成こそがカギになるという信念のもと、「英語・ファイナンス・文化理解」をパッケージ化した研修プログラム「Altus Leap(アルタス リープ)」をスタート。
実務に直結したカリキュラム、受講者との徹底的な伴走、そして受講者が日本人であることを強く意識した指導により、海外を「任せられる」人材を完成させます。
研修講師は海外ビジネスに関する豊富な経験を有する公認会計士や弁護士などのエキスパートばかり。クライアントが高く(Altus)飛躍(Leap)するために、人材育成の面から強力なサポートを提供します。

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