海外赴任前研修の盲点:専門用語・業界用語の準備はできていますか

海外赴任を前にして、特にそれが初めての海外赴任であれば胸のうちも大きく膨らむものです。大いに活躍していただきたいと思いますが、本稿では一つだけ盲点になりやすいポイント「専門用語・業界用語の事前修得」について書こうと思います。
語学研修では教えてくれないこと
多くの企業では、海外赴任を控えた従業員を会社負担で語学学校に行かせます。
通常、語学学校では「ビジネスコース」といったコースが用意されているので、例えば会議の時によく使う表現、メールを送るときの常套句、あるいはオフィスにおける日常的なコミュニケーションといった内容のことを勉強するわけです。
これら「一般的な」語学の訓練はもちろん重要かつ有用なのですが、語学学校という性質上、海外赴任者の実務に必要な専門用語や業界用語を学ぶことは非常に難しいのが普通です。(色々な業界や企業から受講者が集まるので仕方ないですね。)
語学学校ではなく、外部講師を社内に招いて語学研修を行う会社もあります。この場合、外部の語学学校に比べるとある程度カスタマイズされたカリキュラムで運用されていることが多いのですが、そうであっても赴任予定者が色々な部署から集まっている以上、営業部門ためだけに、あるいは製造部門のためだけに語学研修をすることが難しいので、やはり「一般的な」範囲を超えない研修にならざるを得ないのです。
駐在員としての職責を果たすために
海外赴任は、当然ながら遊びではありません。仕事をしに行くのです。
そうであるならば、自分の仕事の専門用語や業界用語などを仕込んでから赴任するのは当たり前のはず。なのに、ここがすっぽり抜けてしまっている人が少なからずいます。
盲点は、長くその業界で仕事をしていると、それらの専門用語や業界用語が当たり前になりすぎていて、そもそも専門用語や業界用語だという認識が薄くなっている、ということ。
もともと赴任前の準備などで忙しいところに加えて語学学校にも通っている中、日常業務で当たり前に使っている言葉にまでなかなか気が回らないのはよくわかります。
しかし、このような状態で赴任すると、赴任先でやはり慌ててしまうということになるので、しっかりと「職責を果たすための準備」をして赴任しましょう。
専門用語や業界用語がわかると自信につながる
言葉が違う国に行ったとき、誰でも多かれ少なかれ不安を抱えています。そして、その不安の最大の原因は、「相手が言っていることがわからない」です。自分が話す能力が十分ではない、というのはそこまで大きな不安の要因にはなりません。
そんな時、専門用語や業界用語がきちんとわかっていると、これは大きな自信になります。
相手の言っていることすべてを聞き取ることができなくても、それらの用語がわかる状態になっていれば、おおむね言っていることは推測がつけやすいというのがまず一つ。
さらに、自分が話すときも結局はそういった用語を使うことになるので、これらが頭に入っていない状態とは比較にならないほどの安心感を得ることができるのです。
自分が役に立っている、役割を果たせているという感覚を持つことができれば、自然と業務にも前向きに取り組むことができるようになるなど、多くの利点があります。
このように、専門用語や業界用語を赴任前に仕込んでおくことは、盲点になりやすいのですが、非常に重要なのです。
専門用語や業界用語の実践的修得方法
では、そのような専門用語や業界用語を「仕込めているか」あるいは「まだ仕込みが足りてないか」はどのように判別し、足りない場合にはどのように訓練すれば良いでしょうか?
これは非常にシンプルで、下の問いを継続すれば良いのです。
「会議で出た内容を、赴任先の言語で言えるか?」
例えば、私は会計とか監査といったエリアの仕事をしてきたのですが、「月次の締め」「業績見込み」「〇〇億円が入り組んでいる」といった専門用語や業界用語があります。本稿の読者の業務や業界にもこのようなものがたくさんあるはずです。それを、赴任先の言語で言えるようにしておけば良いのです。
より具体的には、会議で配布される資料をもとに、自分で会議の内容を英語なり中国語なりで説明してみてください。きっと、「あれ、これって英語でなんて言うんだっけ?」というところがいくつも出てくるはず。それをひとつひとつ調べて、言えるようにしておけばよいのです。
この時に一つだけ実行してほしいのが、必ず「声に出す」ということ。頭の中で「話しているつもり」というのは、「話している」にはなりません。必ず声に出してください。
このように、やることはシンプルです。しかし、根気が必要な作業であることは容易に想像できるかと思います。また、一定の時間も必要なので、赴任の1か月前あたりから慌ててスタートしてもちょっと遅かったりします。
しかし、もともと語学の習得には一定の時間や根気強さが必要なはず。海外赴任の可能性が出てきた段階からすぐに取り掛かることをお勧めします。
この文章を最後まで読んでいただいてありがとうございます。少しでもお役に立てばうれしい限りです。

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